先日、この新型コロナウイルス騒ぎで自転車通勤が見直されているという話を受けて、通勤用には折り畳みミニベロが良いと思うよ!…という記事を書きました。
その記事中で、私なりに通勤用に良いと思われる自転車を複数ご紹介したのですけど、その中に私の愛車 DAHON HORIZE は含まれておりませんでした。
なぜなのか?
決して、私は自分の DAHON HORIZE を気に入っていないわけではないのです。しかし、どうも通勤用にはお勧めしにくい事情がいくつかありまして…。
私の DAHON HORIZE 2017 のカッコイイ写真(親バカ)を織り交ぜつつ、ご説明申し上げたいと思います。写真と文章の内容は関係ありません(笑)。
■2020現行モデルはディスクブレーキ~これが全ての元凶~:
上の写真からも分かるように、私の愛車たる2017モデルはリニアプルブレーキ(Vブレーキ)仕様でした。しかし、現行の2020モデルは HORIZE DISC となって、ディスクブレーキになってしまったんですね。
私の愛車、BOMBTRACK ARISE-2 も SURLY DISC TRUCKER も、ともにディスクブレーキ車です。なので、私は決して一概に自転車のディスクブレーキにネガティブな意見を持っているわけではありません。
しかしながら、通勤用ミニベロについて考えると、ディスクブレーキはメリットが薄くデメリットが目立つような気がしてなりません。
●小径車(ミニベロ)はディスクローターの位置が低い:
ディスクブレーキの長所の一つとしてよく言われるのは…、
「雨天時や悪路走行時において、リムに比べてディスクローターが地面よりずっと高い位置にあるため汚れにくく、ブレーキングに影響が出にくい」
…というもの。
しかし、700cホイールなどとは違ってミニベロはホイール径そのものが小さく、そのためディスクローターの位置も低くなってしまいますよね。結局、700cホイールなどに比べて小径車のディスクローターは汚れやすくなってしまうように思います。
これでは、ディスクブレーキの長所は半減ですよね。
●意外とコンパクトにならない仕様の HORIZE:
折りたたんだ時にコンパクトになるのが、折り畳みミニベロの最大の利点です。
しかし、DAHON HORIZE DISC はディスクブレーキを採用してしまった副作用で、他の車種に比べて折り畳み時に少々嵩張る仕様になってしまっているのです。
この点についてもう少し詳しく説明しますと、次の2点です。少々専門的な話になりますので、読み飛ばしていただいても結構です。
・OLDが前100mm、後135mm:
OLD*1とは、車輪の中央のハブという部品の横幅のことです。DAHON HORIZE はディスクブレーキを採用してしまったため、一昔前のMTB用のハブを流用せざるを得ませんでした。したがって、前100mm、後135mmとなっております。
多くの DAHON の製品では、折り畳み時によりコンパクトにするために、OLDは前74mm、後130mmのハブが使われています。
この違いにより、折り畳み時の横幅に数センチの影響が出ることになるんですね。意外とこの差は大きいのです。
・ハンドルの折り畳みが外折れ式:
ディスクブレーキは、前後輪のハブに取り付けられたディスクローターという金属円板を、フレーム上に取り付けられたディスクキャリパーというパーツで挟んで制動をかけます。
このディスクブレーキシステムは車体左側に搭載されているのですけど、DAHON HORIZE のような横折れ式の折り畳み自転車では、このディスクキャリパーがあるために折り畳み時の内側のスペースに余裕がありません。したがって、折り畳み時にハンドルを畳んだフレームの間に入れることができなくなってしまいました。
そのため、HORIZE DISC では、折り畳み時には畳んだフレームの外側にハンドルが出る形(外折れ式)になり、ますますコンパクトな折り畳みを阻害する結果となってしまいました。ちなみに、私のDAHON HORIZE 2017はVブレーキのため、ハンドルは内折れ式です。
■結語:
そんなわけでまとめますと…、
「現行の DAHON HORIZE DISC は、ディスクブレーキを採用してしまったことによる複数の影響で折り畳み時に嵩張る仕様になっており、またそれを埋めて余りあるディスクブレーキのメリットがあるとも言い難いため、通勤用の折り畳みミニベロとしてあえて選ぶ理由は無くなってしまった。」
…と、私は思うのです。
そんなわけですから、通勤用の折り畳みミニベロとしては、前回の記事でご紹介したものをお勧めいたします。
■追記:DAHON HORIZE に長所は無いの?
通勤用としてはイマイチと思う DAHON HORIZE ですけど、私は気に入っております。断言いたしますが、決して DAHON HORIZE はダメな自転車ではありません!!
ただ、通勤用としてはどうかな~っというだけで…。
DAHON HORIZE の最大の長所は、使えるホイールとタイヤの範囲が広いということなのです。
上の写真の私の HORIZE くんは、太さ2.15inch、実測で太さ53mmのタイヤを履いています。おそらく HORIZE のフレームで使える最大限の太さです。ここまで太いタイヤが入るミニベロは、そう多くはないのではないでしょうか。
太いタイヤを使うと路面との走行抵抗は増しますのでスピードを出すには向かないのですけど、大きなエアボリュームによるクッション性アップで乗り心地が良くなりますし、砂利道などの走破性も上がります。
その一方で、高速走行を目指したカスタムも可能なのが、HORIZE の面白いところ。
上の写真の20インチホイール(406)をもう少し大きな20インチホイール(451)に交換し、もう少し細めのタイヤに履き替えることで、タイヤ外径をあまり変えずに細いタイヤで高速走行を指向することができます。これを可能にしているのが、ディスクブレーキなのです。
そんなわけで、HORIZE の長所をまとめると、その「ホイール周りのカスタムの多様性」…ということになります。カスタマイズ好きの方には、DAHON HORIZE 、私はお勧めいたします!
*1:OLD = オーバーロックナット寸法