”路側帯”の意味を正確に理解している人は本当に少ないんだな、専門家を名乗る人でさえ知らない人もいるんだな…恥ずかしいよね専門家なのに…という話
★この記事のまとめ:
- 自転車で路側帯を走って良いのは、例外的な場合です。
- 原則として、自転車は車道外側線より右側を走ります。
さて、突然ですが皆さん、「路側帯」ってご存知ですか?
自動車運転免許証をお持ちの方は、当然わかっていらっしゃいますよねぇ~?
「そんなの当たり前」…ですよね?
はい、私もそう思っておりました、ちょっと前までは。
でも、私は気付きました。「私は”路側帯”を正しく理解していなかった」…ということを。
皆さんは、私と違って、正しく「路側帯」を理解されていますよね?
だけど、その分野の専門家であるにも関わらず、自転車交通の関するセミナーで、「路側帯を走らない自転車は交通違反」…などと言ってしまう人がいると、とある記事で読みました。
そんなお話であります。
■歩道や路側帯と自転車:
路側帯の理解について、私が自分の誤りに気付いたのは、2013年6月の道路交通法改正であります。どんな改正だったか、覚えていらっしゃいますか?
復習しておきましょう。
以前は路側帯は歩道と同様で、自転車はどちら側の路側帯を走っても良かったのですけど、この 2013年の改正により、自転車は右側の路側帯の走行が禁止となりました。
もちろん、皆さん、ご存知ですよね?
現在、もちろん自転車は原則として車道を走るものですけど、例外的に歩道を徐行することが認められる場合があります。この場合、道路の左右どちらの歩道を徐行しても構わないことになっております。
これに対して、路側帯については、自転車は道路の左側の路側帯しか徐行することができません。
■専門家でも知らない?路側帯の意味:
さて、ちょっとこちらの記事を読んでみてください。
東京は異常事態? 意外と知らない自転車の交通違反とは… “ガチ”の講習会に潜入してみた #SmartNews https://t.co/jGD0dNmbZi
— Kirdina (@ordinaM3user) 2020年10月20日
この記事によりますと、東京都は事業者向けの自転車講習会「自転車安全利用TOKYOセミナー」なるものを定期的に開催しているとのこと。その中で、講師の中央大学研究開発機構の稲垣具志准教授、日本交通安全教育普及協会の加藤重樹氏の2名が、次のようなことを述べたのだそうです。
■意外と知られていない自転車の交通違反:
- 安全確保のためにやむを得ない場合を除き、歩道を通行すること。
- 車道の右側を通行する逆走行為
- 路側帯(車道脇の白線)のある道路で左側の路側帯以外を通行すること。
- 交差点での小回り右折(信号のない路地でも二段階右折がルール)。
- 2台以上での並走など
さて、皆さん、どう思われましたか? 何か変なところがありますよね?(笑)
1,2、4、5は私も同意します。当然です。ただし、4の括弧書き部分には若干の疑義がありますけど(笑)、まあ、良いでしょう。
変なのは3です。
この記事およびこれらの専門家によれば、路側帯のある道路においては、自転車は路側帯を走らなければならないそうです。本当ですか????(笑)
ハッキリ申しましょう。これは完全な間違いだと思います。100点満点のテストなら、ギリギリ及第点の60点? いやいやとんでもない、確実に0点であります!
■路側帯と車道外側線と車道:
これがなぜ完全な間違いなのか? これを理解するには、「路側帯」、「車道外側線」、「車道」の3つの意味を正しく理解しなければなりません。
車道:
車道とは、簡単に言うと、「車両が走るための場所」です。
もうちょっと難しく言いますと、
- 車両の通行の用に供するため縁石線若しくはさくその他これに類する工作物又は道路標示によって区画された道路の部分
- 専ら車両の通行の用に供することを目的とする道路の部分(自転車道を除く)
…ということだそうです。これは簡単ですね。なお、当然のことではありますが、車両には自転車も含まれます。
車道外側線:
車道外側線とは、簡単に言いますと、「車両はこの内側を通ってね…という目印」です。
もうちょっと難しく言いますと、
- 道路または車道の路端寄りに引かれている区画線
- 車両が通行するときに、端に寄り過ぎると危険なため、この線の右側を通る目安を示すことを目的とする区画線
…ということだそうです。要するに、車道外側線の内側が車道ですね。車道外側線より外側を走ったら危ないよ!…というわけ。
路側帯:
路側帯とは、簡単に言いますと、「歩道の代わり」です。
もうちょっと難しく言いますと、
- 歩行者の通行の用に供し、または車道の効用を保つため、歩道の設けられていない道路または道路の歩道の設けられていない側の路端寄りに設けられた帯状の道路の部分で、道路標示によって区画されたもの。
…ということです。注意したいのは、「歩道が無い道路にあるのが路側帯」…ということです。そして、路側帯は歩行者のためのもの…つまり実質的な歩道です。
■改めて東京都の「自転車安全利用TOKYOセミナー」で専門家が言ったという話の問題点を見てみましょう:
先にご紹介した同セミナーで専門家は、こう語ったと記事は伝えています。
路側帯(車道脇の白線)のある道路で左側の路側帯以外を通行すること(は、意外と知られていない自転車の交通違反である。)
はい、もう皆さん、分かりましたね?? しかも、これ、2つの点で完全に誤っていると思うのです。
誤りその1:自転車は路側帯を走らなければならない?
はい、路側帯は車道ではありません。そこは事実上の歩道です。歩行者が歩くための場所です。例外的に自転車が路側帯を走ることは認められる場合もありますが、それはあくまでも例外です。原則は車道走行ですよね。
誤りその2:自転車は白線の外側を通行する?
そうですよね、たぶんこの記事を書いた方か講師の専門家の方は、車道外側線と路側帯の区別がついていないのです。括弧書きにあるように、自転車は「車道脇の白線」の外を走れとおっしゃりたいのですね? …って、おいおいおい!!!!(爆笑)
その白線は車道外側線ではありませんか?
車道外側線は、「ここまでが車道ですよ」…というサインですから、車道外側線の外は車道ではないはずです。そして、車道外側線が設けられている趣旨は「それ以上外側を走ったら危ないよ!」…というものですよね。なんで自転車はわざわざ危ない場所を走らないといけないのですか?? 意味が分かりません。*1
■結語:
改めて正しい知識を確認しておきましょう。
- 原則として、自転車は路側帯を走ってはならない。
- 原則として、自転車は車道外側線の右側(センターライン側)の車道左側を走行する。
自転車に関する日本の道路交通法は曖昧なまま放置されてきた部分が多いと感じている私です。しかし、一方で、環境問題や健康維持などの点から、(自動車の利用を制限してでも)自転車の利用を推進しようというのが世界的な潮流でもあります。
したがって、ハード(道路整備)とソフト(法令や国民意識)の両面から、今後とも継続して自転車利用がより便利になるよう努めていただきたいと思う私です。
そんなわけですから、今回のようなセミナーを開催していただくことに、私は大賛成ですし、もっと報道していただきたいと望んでおります。
しかし、間違った情報を流布されては困ります。各方面の専門家の方、警察関係者、報道関係者の皆さんにも、ぜひとも正しい知識と理解で自転車について情報発信していただきたいと思うのです。
なんか偉そうに書きましたけど、ウソを書いたつもりはありません。皆さま、どのように思われたでしょうか。
良い記事だと思うけど、一部に間違った内容があるんじゃないですかね?
— Kirdina (@ordinaM3user) 2020年10月20日
・
・
東京は異常事態? 意外と知らない自転車の交通違反とは… “ガチ”の講習会に潜入してみた #SmartNews https://t.co/jGD0dNmbZi