「スライディングドロップアウト」…って、ご存知でしょうか?
どうやら名称は色々あるようなのですけど、実物をお見せするのが早いと思いますので、写真を載せときます。
私の愛車、BOMBTRACK ARISE 2 2018 のものなのですけど、フレームのリアエンド…すなわち、後輪を固定している部分の、この構造です。
要するに、後輪の位置を前後調整できるようになっているわけです。普通のロードバイクなどには無いこの構造。どうしてこうなっているかと申しますと、もちろん、「シングルスピードとしても使えるように」…ということなんですね。
しかし、この構造、なんかちょっと強度的に心配な感じしません?
スライディングドロップアウトの長所:
まず最初に、簡単にスライディングドロップアウトの長所を簡単に挙げてみます。こんな感じです。
- シングルスピード時、ホイールの着脱のたびにチェーンテンション調整をしなくて良い。
- シングルスピード時、チェーンテンション調整のたびに、ディスクブレーキキャリパーの位置微調整をしなくて良い。
- リアディレイラーを取り付けた多段変速時、ホイールの前後位置を変更してもリアディレイラーの再調整が必要ない。
要するに、
- 普通のシングルスピードと違って、いったんホイール位置の調整をしてしまえば、ホイール着脱時には普通のロードバイクと同じ要領で常に同じ位置にホイールを取り付けできる。
- リアディレイラー、ディスクブレーキキャリパーも、ホイールと一緒に前後移動するので、位置関係が変わらない。
…という2点に尽きます。
そんなわけで、ピストバイク、シティーサイクルのような普通のシングルスピードよりも格段に便利なんですね!
例えば、SURLY STRAGGLER なんかと比較してみると、この差がはっきりしますね。
スライディングドロップアウトの不安:
その一方で、実際に私が BOMBTRACK ARISE 2 の購入を検討し始めたときに気になったのが、このリアエンドの強度、耐久性。
事実、BOMBTRACK ARISE 2 2018 とは異なるパーツではあるものの、SOMA WOLVARINE (旧タイプ)ではスライディングドロップアウト部分にクラック(ひび割れ)が発生した事案もあるそうで…。
こういう事案を知ってしまうと、やっぱり不安になりますよね。
BOMBTRACK ARISE 2 2018 のリアエンドは大丈夫!?:
さて、そんなスライディングドロップアウトを採用している我が BOMBTRACK ARISE 2 2018 なのですけど、2018年春に納車になり、2021年お正月の今に至るまで、何ら問題は起きておりません。ひと安心。
購入後に徐々にわかってきたことですけど、BOMBTRACK ARISE 2 2018 と同じスライディングドロップアウトのパーツを使っている車体は珍しくないようです。
以前にもご紹介した RODEO LABS にもありました。
また、最近発見したのは、例の珍妙ハンドルバー AERO GRAVEL ALLOY bar を開発販売している RIDEFARR のATBフレーム。
こちらもよく見ると、BOMBTRACK ARISE 2 2018 と同じと思われるスライディングドロップアウトになってますね。
これだけ色々なブランドのグラベル、オフロード系のフレームに採用され続けているということは、強度的な問題事例は発生していない…ということなのでしょう、きっと。
BOMBTRACK ARISE 2021 からは、独自パーツになった?:
そんな BOMBTRACK ARISE なのですけど、実は2021モデルからこのスライディングドロップアウトの部分のパーツが変更になったようです。
私の ARISE 2 2018 と比べてみると、微妙な違いなのですけど、異なるパーツになっていることが分かりますね。
良く見ると、上部にボムトラックのロゴマークである「B」が彫られています。これは私の ARISE 2 2018 にはありません。
まあ、基本的には良く似通ったパーツですので、大きな違いは無いんじゃないかな?…とは思いますけどね。
結語:BOMBTRACK ARISE の進化:
以前にフレームジオメトリの話などの話も書いたのですけど…、
これらの点を総合して考えると、どうやら BOMBTRACK ARISE は2021モデルから新たな世代になったと考えて良さそうです。
大雑把にいって、こんな感じ? こうして概観してみると、BOMBTRACK ARISE は進歩発展の時代を終えて、完成そして収斂成熟の段階に入ってきているのかもしれませんね。
- 第一世代「誕生」:2014~2015(Vブレーキ)
- 第二世代「進歩」:2016(スライディングドロップアウト採用)
- 第三世代「発展」:2017~2019(ディスクブレーキ採用)
- 第四世代「完成」:2020(スルーアクスル採用)
- 第五世代「成熟」:2021~(フレーム共通化)
この辺の話、いずれきちんとまとめてみたいと思います。