豪雪地帯の冬を自転車で便利にする方法、楽しくする方法を考えてみる。スパイクタイヤ、ファットバイク etc
雪の中を自転車で走るなんて、狂気!! いや、凶器!!
…と、思われる方は少なくないはず。ましてや豪雪地帯なら。
ですけど、ファットバイクって乗り物があるらしいし、自転車用スパイクタイヤなんて物もある。
本当に豪雪地帯の冬は自転車を使えないのか? 使えるとしたら、どんな方法があり、どんな用途がありえるのか?
私なりに思うところをまとめてみました。
■もくじ:
- 豪雪地帯の冬の自転車はアリ!…ただし安全最優先:
- まず当たり前のことを確認:
- どんな自転車が最適か考えよう:
- 雪上ライドに適した車体装備を考える:
- 豪雪地帯の冬、自転車で何をする?:
- 安全な雪上ライドのためのテクニック:
- 豪雪地帯の冬を自転車で楽しむ心構え:
- 結語:
豪雪地帯の冬の自転車はアリ!…ただし安全最優先:
私が住んでいるのは、北海道の空知地方に属する旧産炭地の人口1万人弱の街です。空知と聞けばわかる人にはわかる豪雪地帯。
そんなところに住んで自転車をぼちぼち楽しんでいる私は、2016年の秋に自転車用スパイクタイヤを購入して以来、積雪深い冬も自転車を楽しんできました。
最初は、BRIDGESTONE ordina M3 というクロスバイクで。
ordina M3 のフレームが割れてからは、SURLY DISC TRUCKER にスパイクタイヤを履かせて。
そして、2020年2月にファットバイク CANYON DUDE CF8 を手に入れてからは、ファットバイクで。
で、2021年の冬、豪雪地帯での冬の自転車はアリか?…との問いへの私の答えは、「アリ!…だたし、条件付きで」
その条件とは、安全を最優先に考えること。
まず当たり前のことを確認:
走る場所はやっぱり車道?それとも歩道?:
「自転車は車道の左端を走行する」
はい、正解です。最近はかなり日本社会にも浸透してきたこの常識。しかし、頑なに理屈に拘ってむしろ安全を疎かにするというのも愚。
日本の道路交通法規の中で、夏場であっても、普通自転車で車道を走るのが危険でやむを得ない場合には、歩道を走行することが認められています(道路交通法第63条の4第1項第3号)。
で、豪雪地帯の冬の場合ですけど、車道を安全に走れる状況ならば、当然に車道を走るべきでしょう。しかし、安全のために歩道を利用させてもらうことを躊躇すべきでもないと思う私です。むしろ、豪雪地帯の冬にあっては、そういうケースって多いんじゃないでしょうか。もちろん、その場合でも歩行者優先は当然ですし、いつでも止まれる速度で徐行すべきなのも当然です。私が思うには、冬場のいつでも止まれる速度での徐行とは、平均時速 7~10km くらいなんじゃないかと思います。
ところで、ちょっと問題になるのは、普通自転車でない自転車の場合です。例えばハンドル幅が 60cm を越えているような自転車のこと。普通自転車でない自転車には、歩道走行は一切認められていないはずです。「自転車走行可」の標識がある歩道もダメですよね。さて、どうしましょう。
理屈通りガチガチに考えると、普通自転車でない自転車は、車道を走れないなら歩道を押し歩きすべきでしょう。でも、実際の安全性と利便性のバランスを考えると、ちょっとハンドル幅が広いだけ…という程度であるならば、歩道走行時、普通自転車に比べて大きく歩行者の邪魔や危険になるということも無いでしょうし、そこは柔軟に判断して良いのではないかと思っております。まあ、確かに、違法と言っちゃえば違法には違いないのですが…。もちろん歩行者優先で、歩行者の邪魔になる可能性があるなら押し歩きです。
ちなみにファットバイクってすごく巨大な自転車に思えるかもしれませんけど、私の CANYON DUDE CF8 (Sサイズ)の場合は前輪端から後輪端までの全長が約 185cm ですので、ハンドル幅が 60cm を越えていること以外は、一応、普通自転車の範囲内だったりもします。ハンドルバー、切っちゃおうかな…。
軽車両の定義:道路交通法第2条第1項第11号
自転車の定義:道路交通法第2条第1項第11号の2
普通自転車の定義:道路交通法施行規則第9条の2の2
ウェアと手袋のこと:
気温が氷点下5度とか氷点下10度とか、そういう環境を考えるなら、衣類の防寒対策をガッチリ行うのは当然のことですよね。雪国の方であれば、どんな衣類が必要なのかは十分わかっていらっしゃることでしょう。
しかし、自転車に乗るということを考えると、更に必要な条件が増えてきます。まず、意外に思われるかもしれませんが、ガッチリ防寒対策服で自転車に乗ると、氷点下10度でも汗をかくんです。この対策をしっかり考えておかないと、ひどい目に遭うんですよね。登り坂を頑張って登ってびっしょり汗をかき、そのまま下り坂に突入すると、身体運動ほぼ皆無で体温発生しない状態でマイナス10度の風を浴び続けることになり、体がキンキンに冷え切ってしまいます。
これを防ぐには、調整できる防寒着を着用して、こまめに不要な熱を放散して汗をかかないようにし、必要なときにはガッチリ防寒して体温を逃がさないようにする、そんな工夫が必要になるんです。
靴のこと:
まず、ビンディングシューズはやめた方が良いと思いますよ。
夏場と違って路面が不安定な雪道のこと。全く予期せぬタイミングでバランスを崩し、地面に足を着かなければならない事態が発生します。そんな時、ビンディングペダルはまさに命とり。大げさな比喩ではありません。自動車の前でコケたら、本当に命とりです。
また、ビンディングペダルは雪や氷が詰まって固まり、使えなくなってしまうリスクもあります。ライド中、BB下に氷柱(つらら)ができるような環境では、十分にありえるリスクです。
次に、靴の防寒対策を十分に…というのは当然のことですよね。
加えて、靴についても、しっかりスリップ対策をしておいた方が良いと思います。ライド中、アイスバーンで後輪が横滑りして流れ、バランスを崩して足つき!…ということは、そこは滑りやすい路面状態ということなのですから、着いたその足も滑る可能性が高いわけです。後輪が滑り、地面に着いた足も滑ったら、そのまま転倒です。
私がお勧めしたいのは、靴裏に打ち込むスパイクピン。こういう物をつま先や踵(かかと)に付けておくだけで、かなりリスクを低減できます。
ちなみに、下のような製品はペダリングの邪魔になるので、イマイチですね。
ヘルメット問題:
雪上サイクリングで、ヘルメットをかぶりますか?
現在の日本の法律上は、自転車に乗る際にヘルメットをかぶることは義務ではありません。地域によっては、条例などで義務化されている場合もあると聞きますが、私の住む北海道では義務にはなっておりません。
しかし、スポーツとしてサイクリングを楽しむ方々の間では、ヘルメットをかぶることは常識となっているのではないでしょうか。
私も、夏場、サイクルイベントに参加する時や、所属しているサイクリング団体の例会に参加する時には、必ずヘルメットをかぶります。また、個人的にロングライドする際にも、必ずヘルメットです。
一方で、日常利用で自転車に乗る場合には、実は私、ヘルメットは使っておりません。服装に合わない…という理由もありますし、誰かと会うときにヘアースタイルが…という理由もあります。
そして、冬場の雪上サイクリングの場合には、更に別の問題があると思うのです。それは防寒です。
サイクリング用ヘルメットって、どれも通気性重視のものが多いものですから、氷点下の気温では頭が凍る…(苦笑)。頭の防寒のためのサイクリング用品もありますけど、でも、マイナス5度やマイナス10度ですと…役に立ちますかねぇ…?
もちろん、ヘルメットをかぶった方が安全に資することは十分わかっております。しかし、そんなわけで、私の場合には冬用ニット帽をかぶっていることが多く、ヘルメットは使っていない場合も少なくないのが実情です。
皆様、どう思われたでしょうか。
どんな自転車が最適か考えよう:
シティーサイクル、ロードバイク、シクロクロスバイク、マウンテンバイク、セミファットバイク、ファットバイク、リカンベント、ミニベロ…etc。自転車にも色々ありますが。
結論を申しますと、どの自転車でも雪の上を全く走れないってことはないと思うのですが、ここはちょっとファットバイクに注目して考えてみましょう。
本当にファットバイクが最適解か:
雪上自転車といったら、最近だとそれほど珍しくもなくなってきたファットバイクを一番に想像される方も多いでしょう。ですけど、本当にファットバイクが最適なのでしょうか。ファットバイクは、はっきり言って高価です。また、非常に極端で尖った進化を遂げた自転車ですので、それが適した局面ではバリバリ最強ですが、そうでない局面だとただの鈍重な乗り物になってしまいます。そんなわけで、高価な買い物をする前に、自分にはファットバイクが必要かどうか、よく考えた方が良いと思います。
ファットバイクが必要ないケース:
前述のとおり、私自身、ファットバイクを手に入れる前の2016~2020までは、クロスバイクやツーリングバイクにスパイクタイヤを履かせて雪道を楽しんでおりました。
私が使用していたのは、Schwalbe Marathon Winter 26x2.0" ですが、他にも色々なスパイクタイヤが販売されています。入手性もそこそこです。きっと、貴方が現在愛用している自転車に付けられるスパイクタイヤもあるはずです。
こういうタイヤも、私の経験上、きちんと使用場面を選べば、十分以上に使えちゃいます。ぶっちゃけ、普通の靴で歩くより安全です。
こういう幅2インチくらいまでのスパイクタイヤがその性能を発揮してくれるのは、雪道でも比較的良好な路面になります。たとえば下の写真のような。
こういう綺麗に整えられた路面なら、スパイクタイヤを装備しているなら、マウンテンバイクどころかシクロクロスバイク、いやクロスバイクだって、シティーサイクルだって、イケちゃうでしょう。
条件をあげてみると、こんな感じ。
- 固く引き締まった圧雪路もしくは凍結路であること。
- 綺麗に除雪されていて舗装道路なみに表面が平坦であること。
この2条件を満たす路面であれば、その上に10cm程度の柔らかい粉雪が積もっていたとしても、ファットバイクは必要ありません。もちろんファットバイクでも走れるのですけど、完全にオーバースペック。シクロクロスバイク、クロスバイク、マウンテンバイクなどにスパイクタイヤで十分です。
ファットバイクを使わずに雪上ライドを楽しんでいる団体もあるようです。こちら、非常に参考になります。
ファットバイクが断然有利なケース:
では、ファットバイクが必要になるケースとは?
簡単に申しますと、路面状況が悪くなればなるほど、ファットバイクでないと太刀打ちできない局面が増えてくるのです。
たとえば、こんな路面状況です。
- 除雪用重機のキャタピラの跡のまま洗濯板のような形で凍結してしまった路面。
- 歩行者の足跡で酷くデコボコになってしまった路面。
- まともに除雪されていない路面。
- 滑らかに新雪が積もっているがその下はデコボコに固まっている路面。
- 春先、溶けかけてシャーベット状になった路面。
- 除雪用重機が残していった雪の塊があちこちに落ちている路面。
まあ、これらの路面でもファットバイクなら必ず走破できる…ってわけじゃないですけど、その可能性は格段にアップすること間違いなしです。
私が「ファットバイクで良かった」…と特に感じるのは、キレイな雪の下にデコボコ路面が隠れているケースです。そんな予測不可能な見えない悪路に全く無警戒に突っ込んでも、その太いタイヤで難なく乗り越えてくれちゃう可能性が高いのが、ファットバイクの最大の強みなんですよね。
例えば下の写真のような場所。ありがちな歩道ですけど、見た目以上に柔らかかったり、デコボコだったり。
この上をずっと走り続けるのは、タイヤ幅 35mm のシクロクロスバイクでは耐えられないストレスでしょう。幅2インチ(約5cm)くらいのスパイクタイヤなら何とかイケるかも。それに対してファットバイク(4~5インチ)ですと、実に楽しく走れちゃうのです。
下の写真も、よくある歩道。貴方なら左側を行く?右側を行く?
歩行者の足跡で踏み固められた右側は、実際に走ると結構デコボコです。それに比べて左側はどうでしょう。この柔らかく降り積もった雪の下が完全な平坦だと、どうして確信をもって言えましょうか。もしもこの柔らかい雪の下に大きな氷の塊が隠れていたら、太くて大きなタイヤは貴方を救ってくれる可能性があります。
どこまでも固く締まった雪や氷の平らな路面が続いているとは限りません。例えば下の写真のような状態は、豪雪地帯に住む人なら見慣れた光景でしょう。
ひとたび固く踏み固められた路面ですが、氷点下の気温であってもちょっと日当たりが良い場所では、お昼時には自動車に荒らされてこんな状態に。こうなると、いくらスパイクタイヤを装備したシクロクロスバイクでも、突破は事実上不可能。しかし、ファットバイクですと走破できる可能性が十分にあります。
もっとも、自動車交通量が多いときは、安全のために避けた方が無難ですけど。
下の写真の路面も、冬の豪雪地帯ではありがちな状況。
固く引き締まった圧雪路ですけど、除雪用重機の跡でデコボコ状態のまま固まっています。スパイクタイヤなら滑ったりはしませんが、細いタイヤでは振動が体にキツイ。こんな道を30分間も走るのはストレス。ですけど、タイヤ空気圧を下げたファットバイクなら、乗り心地はまるで違いますよ。
下の写真くらいの雪になると、もはや…?
道というよりは、もはや雪原。ですけど、実はここ、築堤上の河川管理道路なのです。ここまでになるとファットバイクでも走行不可能かもしれません。でも、ひょっとしたら行けちゃう可能性も…まあ皆無ではありません。意外とイケちゃうときはイケちゃうもの。他に歩行者も自動車も来ませんし、チャレンジしてみるのも一興。そういう楽しみができちゃうのもファットバイクの魅力。
ファットバイクも過信は禁物:
悪路に強いファットバイクですが、過信は禁物です。特に気を付けたいのは凍結路面。太いタイヤでもスパイクが付いていなければ、氷の上では滑りやすいものです。
実際、私、凍結路面でコケてディレイラーハンガーを折りました…(泣)。
そんな場合は、ファットバイク用のスパイクタイヤを用意するのがベストです。
ただし、すっごく高価なのが難点ですが…。
雪上ライドに適した車体装備を考える:
フレーム素材:
自転車のフレーム素材は、主に、クロモリ、アルミ、カーボンの3種類あるわけですが、雪上ライドということを考えると、…別にどれでも良いように最近は思っております。
もともとクロモリ好きの私ですので、雪上ライドでも「転倒ダメージを考えたら頑丈なクロモリが良いんじゃないかな」…という意見だったのですが、そんな私は現在、フルカーボンのファットバイクに乗っています。今のところ何の問題もありません。
ディスクブレーキ:
自転車のブレーキには色々ありますが、リムブレーキはあまりお勧めできません。キャリパーブレーキは論外ですし、カンチブレーキでもリニアプルブレーキ(Ⅴブレーキ)でも、雪や氷が付着して効かなくなる可能性があります。やっぱりディスクブレーキが適任です。
ディスクブレーキにはワイヤーで引く機械式タイプと油圧で動く油圧式タイプがありますが、私自身、氷点下の雪上ライドで両方使っておりますけど、とりあえずどちらも機能不全は起こしておりません。
機械式、油圧式、たぶんどちらでも大丈夫ですが、弱点はちゃんと把握して使うことでしょう。
■機械式ディスクブレーキの弱点:
- 可動部分が凍り付くと、機能しなくなる。
- 油圧式よりも制動力がマイルド。
■油圧式ディスクブレーキの弱点:
- オイルが低温で変質して機能しなくなる…という噂がありますが?
- 機械式より制動力が強いので、滑りやすい路面では意図せずホイールをロックさせてしまい転倒するリスクがある。
マウンテンバイク用フラットペダル:
まず、雪上ライドにビンディングペダルは論外だと思っております、異論はあるかもしれませんけど。
そうするとフラットペダルを選択することになるわけなのですけど、フラペといいましても色々あります。私が気に入って使っているのは、マウンテンバイク用のピン付きペダルです。こういうのね。
ドロッパーシートポスト:
マウンテンバイク好きの方ならご存知でしょう、手元のレバーでサドルを下げることのできるシートポストです。こういうのね。
私のファットバイク、CANYON DUDE CF8 には、最初から装備されてたドロッパーシートポスト。最初は懐疑的だったのですよね、こんなの私には要らなくない?…と。
ですけど、これが雪道では意外と役に立つことに気が付きました。たとえば、こんな状況。
- いかにも滑りそうな路面で、サドル位置をちょっと下げて、いつでも足つきできるようにする。
- 深い雪など不安定路面からリスタートする際に、サドル位置を下げて左足を地面に着いたまま右足で漕ぎ始める。
「雪道で、あって損なし、ドロッパー」
お勧めいたします。
簡易式のフェンダー(泥除け・マッドガード):
冬の合間の暖かい日や、春先、路面の一部で雪が融けて水たまりになってる…なんてことは、よくあります。大抵、自動車の排気ガスの成分か何かでココアのような濁った色になってますよね。そんな汚い水を足や背中に浴びても構わないなら、フェンダーなんていりませんけど。
でも、汚れるだけなら良いのですけど、衣類や靴が濡れると体が冷えるのです。体温を奪われることを考えると、濡れない方が良いと私は思います。だったらフェンダーが欲しいですよね。
フェンダーといっても、大きく分けて2種類あります。カッコ良いのは、こういうヤツ。フルフェンダー。
こういうのを、タイヤにピチッと沿わせて付けるとカッコイイ。でも、タイヤとフェンダーの隙間が小さいと、そこに雪や氷が詰まってしまうことが割とよくあります。
というわけで、下のような簡易式フェンダーを選択することになります。
これでしたら、雪詰まりを心配することはありませんが、なるべく広くて長いフェンダーにするのがお勧めです。
豪雪地帯の冬、自転車で何をする?:
では、豪雪地帯の冬、自転車に乗れるとどんな素敵なことがあるのでしょう?
●環境に配慮した日常生活
よく自転車について言われることは、エコ。
最高気温が氷点下5度のある日の午後、ちょっと用事で近所のコンビニへ行かなくちゃならないけど…寒いし、雪だし、なんか億劫。そんなわけで、ほんの数百メートルの道を自動車で…。豪雪地帯にお住いの皆さん、そんなご経験あるでしょう?
でも雪道を走れる自転車があれば、その道がちょっと楽しいアトラクションになります。環境にも優しい。
●冬場の運動不足解消
豪雪地帯のサイクリストの皆さん、冬は何してますか? 冬の間に増えてしまった体重を秋までに元に戻す…そんな暮らしを毎年続けていたりしませんか?
雪道を走れる自転車があるだけで、オールシーズン、サイクリングが楽しめます。
●ロングライド
例えば 100km を超えるような雪上ロングライドも、もちろん不可能ではありません。ですけど、夏場の10倍くらいの根性と、熟慮に熟慮を重ねた装備と、撤退する勇気が必要になることでしょう。しかしながら、困難なればこそ有意義なチャレンジでもあるのです。
まあ、私はせいぜい40km/日くらいしか走りませんけど、でも、やってみたい気持ちは十分に理解できちゃいます。
さすがにロングライドはなぁ…という方でも、冬場の雪上ポタリングは楽しい体験となるに違いありません。雪はあらゆる物に神秘的な魔法をかけます。何気ない風景が感動的な風景に変わります。夏とは違う景色を探し、その景色の一部となれるのです。
●ただ乗っているだけで楽しい
ここまで色々挙げてみましたけど、率直に心の声を聴くならば、「ただ乗っているだけで楽しい!」…ということに尽きるのだと思うのです。「うわ、こんな場所イケちゃうんだ」という快感。長い距離、長時間を走らなくても、童心に戻って純粋に雪を楽しむことができちゃうところが、一番の魅力だと思います。
安全な雪上ライドのためのテクニック:
豪雪地帯の冬、雪の上で自転車を安全に扱うには、ちょっとしたコツがあると思うのです。まだまだ初心者の私ですが、気が付いたことを挙げておきます。当たり前のことばかりかもしれませんけど…。
●夏以上にスピードを控える
夏場だってスピード出し過ぎは事故の元なのですけど、雪上では更にもっとスピードを控えた方が良いですよ。当たり前ですよね。
車道走行でも平均速度 15km/h くらい。歩道走行なら平均速度 8km/h くらいに留めておくのが安全だと私は思っておりますが、皆様の技量と環境と機材を冷静に考え、自己責任でどうぞ。
●前ブレーキを主に使用し、後ブレーキはなるべく使わない
スポーツサイクルをある程度乗り慣れた方なら、きっと気付いていると思います。後輪がロックして滑ると、自転車は簡単にバランスを崩して転倒しますよね。そんなわけで、なるべく前ブレーキを使用して減速、制動した方が良いと思います。夏場ですと、後ブレーキで速度調整している方も多いと思いますが、凍結した滑りやすい路面で、しかも油圧ディスクブレーキですと、ちょっと減速させるだけのつもりだったのにタイヤがあっさりロックして滑り、転倒…なんてことが簡単に起こりえます。
もちろん、前ブレーキで制動するときは、ハンドルバーの向こうにダイブすることにならないように注意が必要ですけどね。
●急ハンドル禁止
曲がる際にも、余裕をもって大回りで旋回した方が安全です。また、滑りやすい路面は直進してクリアするようにし、凍結路ではなるべくカーブしない方が良いと思います。また、大きく車体を傾けるのがハイリスクなのは、説明するまでもないですよね。
そして、「ここは曲がれないかも…」…と少しでも不安に思ったときには、躊躇せず自転車を降りて、押し歩きする勇気を忘れずに。
●前後重量バランスを意識する
前輪と後輪、どちらに大きく重量がかかっているか、なるべく常に意識しましょう。そこに意識がいくようになると、試行錯誤しながら上達できるようになるはずです、たぶん。…と申しましても、私もあまり上手じゃないのですけどね。でも、ここをクリアできると初心者卒業だと聞いたことがあります。
柔らかい雪道では特に、後輪に荷重が集中すると走行できなくなったりしますよね。後輪のグリップを十分に確保しつつ、バランスよく前後荷重をコントロールできるのが上手な人なのだと思います。
豪雪地帯の冬を自転車で楽しむ心構え:
●不便を楽しめる心
まず何よりコレです。夏場のサイクリングに比べて、雪上サイクリングは何かと面倒です。装備もそうですし、いざ走り出すと色々と面倒なことに遭遇します。そんな状況を「うっわ、マジかよ、あはははは!」…と(心の中で)爆笑できる明るい心が、雪上ライドには必須です。
●無理しない勇気
次はコレでしょう。「ここは行けるかな、無理かな?」…と少しでも思ったら自転車を降りて押し歩きする勇気が、事故を未然に防ぎます。
●チャレンジする心
矛盾するように思われるかもしれませんが、それでも多少のリスクを冒して挑戦する気持ちが人生をビビッドに彩ります。夏場なら何の刺激もない道が、冬はアトラクションになるのです。
結語:
書き始めてみたら、思った以上に長い記事になってしまいました。最後までお読みいただき、ありがとうございます。
私のような、豪雪地帯の田舎町にお住まいのサイクリストの皆さん。冬は室内でローラー台というのも良いのですけど、…私もローラー台持ってますし…、でも、やっぱり自転車って屋外を走ってこそ楽しいものだと思うのです。
そんなわけで、多くの方が雪上サイクリングを楽しみ、雪国でも冬に安全に自転車を楽しめる機材やノウハウがもっと充実してくれることを願っております。