チューブレスレディータイヤを初めて開けてみたら、ドロドロでベトベト。でもこれなら素人でも運用できるな…と思った話と、チューブレスレディータイヤの再使用の話。
2020.11.11(水)
夜、2時間ほど自由時間を取れましたので、ちょっとチューブレスレディータイヤを弄ってみることに。
ちょうど1年ほど前に組付けを行って、今年、運用してきたチューブレスのホイールとタイヤがあります。
このタイヤの中身がどうなっているのか、開けてみようというわけです。
使用機材:
今回、開けてみるのはこちらのホイール。前後セットであります。組付けを行って約1年。
ホイールは、Chain Reaction Cycles のオリジナルブランド PRIME の軽量アルミホイール。
タイヤは色々なところで高評価を受けている Continental Grand Prix 5000 TL、その 700Cx28 。
ちなみに、使用しているバルブとシーラント剤は、こちら。
いざ、開けてみた!:
さあ、いざオープン!
もちろん手指では開けられませんので、タイヤレバーを使用。
中にシーラント剤が入っていることは分かっていますので、それを床にぶち撒けないよう、ホイールを立てた状態で上から取り外し開始。
すると…、
こんな感じで、ビード部分にベットリとこびり着いたゴム状のネバネバ。
シーラント剤はもともと牛乳のような白い液体ですけど、内部に溜まっていたのはこんな感じでヤクルト色になってました。ティッシュペーパーで全て吸い取って廃棄。
こんな感じで、ベットリと貼り付いております。
段ボールを敷いて作業したこともあり、床を汚さずにリムからタイヤを外すことができました。
タイヤの内部は、この有様…。うーむ…。これを全てクリーニングして完全にキレイにするのは…非常に困難…(苦笑)。
タイヤ内部にこびり付いているブツは、ゴム状の物質なのですけど、指で擦るととれてきます。それが、こちら。
シーラント剤の中に混ざっているという細かいゴム繊維が固まったものでしょう。
シーラント剤とは何なのか:
この状態から、シーラント剤の性質、機能、機序が何となく推測できますね。こんな感じ?
シーラント剤の中には細かいゴム繊維が混ざっており、これは通常状態では一種のコロイド溶液みたいな感じで液体内に浮いているのでしょう。しかし、この溶液に強い圧力がかかると、ゴム繊維同士が癒着して固まる性質があるではないでしょうか。パンク修理の際にパッチを貼るのに使うゴム糊を想像してください。
で、例えばパンク穴。穴から空気が漏れると同時に、シーラント剤も漏れ出してきます。しかし、小さな穴を通る際にこのゴム繊維が詰まり、圧力でゴム繊維同士が癒着して穴が埋まります。これによって空気漏れを防ぐ…と。
まあ、たぶんそんな感じでシーラント剤は機能しているのでしょうね。
ふむふむ。初めてチューブレスレディータイヤを開けてみて、色々と経験と勉強ができました。
チューブレスレディータイヤの再利用は可能か?:
さて、こんな感じでシーラント剤によってベトベトに汚れたタイヤは、再利用できるでしょうか?
再利用組付け:
前述の写真のような状態だったものですから、これを完全にキレイにすることは諦め、ビード部分の大きな塊くらいは除去しまして、改めて別のホイールに組付けてみます。
使用したリムは、最近購入したカーボンリムの軽量ホイール。例によって PRIME 。
バルブも一緒に移植。シーラント剤は同じ製品を新たに使用。
前輪の組付け:
前輪。とりあえず、シーラント剤は入れずに組付けを行い、空気を入れてみました。
一般的なチューブレスレディータイヤの取付手順():
※これは私が実際にやっている方法ですけど、もし参考にされる際には自己責任でお願いします。私は責任負えませんので、あしからず。
- リムテープがきちんと貼られていることを確認します。
- リムのバルブ穴に、チューブレス用バルブをしっかり取り付けます。
- タイヤ、リム、リムテープ等を痛めないように、丁寧にタイヤをリムに嵌めます。
- バルブのコアを専用工具で取り外し、シーラント剤をよく振り混ぜてから適量を小分け容器に移して、これをバルブから流し込み、コアを締めなおします。(コアが外せないバルブの場合は、リムとタイヤビードの隙間からシーラント剤を流し込みます。)
- ホイールを水平に置き、シーラント剤が漏れないよう気を付けながら、内部全体にシーラント剤が行き渡るように動かします。
- ポンプにて、空気を入れます。最初は空気が抜けて手応えがありませんが、毎秒3~4ポンピングくらいのペースで頑張りましょう。パン!パン!…っとビードがリムにかみ合う音がし始めたらOK。あとはどんどん空気圧が上がっていくはずです。
- ビードが均等にリムにハマっていることを確認して、できあがり! …でも、最初のうちは割と早いペースで空気圧が下がっていくと思います。空気圧が安定化するまでは数日から数週間程度の時間はかかると覚悟した方が良いかもしれません。
するとあっさりビードが上がり、空気が入りました。しかし、ある程度の空気漏れはあるようで、シーラント剤 60ml をよーくよーく振り混ぜてから入れて安定させました。空気圧 6bar 。
使用したのは、普通のフロアポンプ。こんな感じの普通のです。
後輪の組付け:
少々苦労したのは後輪の方で、シーラント剤なしではなかなかビードが上がってくれませんでした。空気の漏れ方から判断して、おそらくリム側からの空気漏れ。いったんタイヤを外して内部を観察してみましたが、リムテープに異常なし。怪しいのはバルブの根元かな?…とも思ったのですが、原因不明。
あらためてタイヤをリムに取り付けて、シーラント剤 60ml をよーくよーく振り混ぜてから入れて、外に漏らさないように丁寧にホイールを揺らし、シーラント剤を内部全体に行き渡らせました。それからフロアポンプで空気を入れてみると…。最初こそ少々抵抗を試みたホイール。リム表面には1対の空気抜き穴があるのですが、そこから少量のシーラント剤が漏れ出してきました。やはりリム側から漏れているようです。しかし、不意にパン!…という景気の良い音。これをきっかけに空気が入り始め、ビードが上がり、圧力が上がりました。
とりあえず組付け成功です。こちらも空気圧 6bar 。
組付け後の空気漏れとその後の経過:
新たに組付けたこのホイールを車体に取り付けて、三本ローラーを回します。こうすることでタイヤ内にシーラント剤をまんべんなく行き渡らせ、またタイヤにある程度の刺激を与えて、空気漏れする可能性のある部分をシーラント剤で埋めようというわけ。
15分間ほど三本ローラーに乗りましたけど、ローラー終了後、お風呂上りの寝る前に確認してみたところ、前輪の空気圧は維持されていましたが、後輪に指で触って分かるほどの空気圧低下を確認。
翌日(2020.11.12)お昼、前輪後輪ともに空気圧を 5bar まで充填。ホイールを振ってみたところ前輪後輪とも中でチャポチャポ液体の音がしたため、シーラント剤は追加せず、昼休みに三本ローラーを回すこと約30分。
翌日夕方3時、ちょっと休憩がてら見てみたら、前輪後輪とも空気圧低下。後輪の方が低下の度合いが大きそう。これはシーラント剤追加が必要かなぁ~。
夕方5時、前後それぞれシーラント剤を 60ml 追加して、5bar まで空気を入れ、三本ローラーを 30分回しました。シーラント剤、ちょっと多いかなぁ…とも思いましたけど、ま、いっか(笑)。
さらに翌日(2020.11.13)の朝、指で確認した感じで、前後とも同じくらいにほんの僅かですが空気圧低下がありました。 昼休み、空気もシーラント剤も追加せず、そのまま三本ローラーを回すこと約20分。ほぼエアー漏れは止まったように見えます。
夕方、更に40分ほど三本ローラーを回しました。
さらにさらに翌日(2020.11.14)の朝、確認してみたところ、前 4bar 後 4.5bar くらいまで減圧しておりました。各 5bar まで空気を入れて30分間ほど三本ローラーを回しました。かなり良い感じになってきたのでは?
2020.11.15は夕飯後に15分ほど三本ローラーを回す。
2020.11.16は全く何もせず。
2020.11.17の朝。シーラント剤、空気圧とも、これといって弄っておりませんが、顕著な空気圧低下は認められず。どうやらしっかり組付けできたようです。やったね!
結語:
そんなわけで、とりあえず再利用できそうな雰囲気です。
私はこういうのも趣味としてやってますから、こんな歯痒い展開も楽しめてますけど、そうではない方、メンテナンスや組付けには興味が無く、パッと組んでパッと乗りに行きたい方だったりすると、こういう作業はショップにお任せするのが吉ですよね、やっぱり。
ちなみに、チューブレスレディーについて、もっとちゃんとした人の話を聞いてみたいという方には、こちらの雑誌の特集記事「達人に聞く! ROAD TUBELESS & TUBELESS READY OPERATION TECHNIQUE」をお勧めいたします。色々と詳しく書かれており、勉強になりますよ!